お問合せ

災害時職員行動指針(雪氷版)

更新日:2024.06.18

在宅医療専門クリニックのコンサルティング業務において有料で作成した「災害時職員行動指針」の最後のテーマ「雪氷版」を掲載します。近年の異常気象で今後も冬には頻繁に起きる可能性があります。日頃からの備えが重要です。

3. 雪氷

雪氷について、近年の温暖化、クリニックの地域を考慮すると発生するおそれはあまり高くないが、異常気象が頻繁に起こる現在では、発生した場合の行動を想定しておくの  は重要な事である。雪氷に関しても気象庁より注意報、警報等の情報が発表されるので、その発表の区分により行動を想定する。

参考:https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/warning_kind.html

   https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/warning.html

(1)大雪、風雪注意報(道路の凍結、交通の麻痺等が発生するおそれ)

大雪、雪を伴う強風により、住宅等の被害や交通障害などの災害が発生すると予想され た時に発表される。

(行動指針)

大雪、風雪注意報のレベルでは、クリニックの診療業務に大きな影響が出る可能性は低いが、一部道路が凍結したり、高速道路の速度規制等、訪問診療に影響が出る可能性もあるので、下記の行動を実施する。

・注意報に注意を払う。

・道路の凍結、積雪等の情報収集

・スタッドレスタイヤの準備

⇒購入しなくてもスタッドレスタイヤのレンタル、スタッドレスタイヤ装備のレンタカーを利用する方法もあるので、日頃から緊急に対応できるようにしておく。

・前倒しの訪問診療の検討

⇒事前に大雨、洪水、高潮、波浪注意報の情報を察知し、当日の訪問診療に影響   が出る可能性がある場合は前もっての訪問診療も検討する。

・道路の規制、訪問診療先の状況によっては一部訪問診療中止→院長判断

(2)大雪、暴風雪警報(重大な道路の凍結、交通の麻痺等が発生するおそれ)

大雪、雪を伴う暴風により、重大な住宅等の被害や交通障害などの災害が発生すると予想された時に発表される。

(行動指針)

大雪、暴風雪警報のレベルでは、クリニックの診療業務に大きな影響が出る可能性が高くなる。特に高速道路の速度規制、通行止め、公共交通機関の運転見合わせ、訪問診療先の積雪、凍結被害等が発生する可能性もある。こちらも地震と違って前もって備えや対策ができるので、下記の行動を実施する。

※暴風雪警報の場合は暴風警報の行動指針も参照

・基本行動は大雪、風雪注意報と同じ

・診療材料・医薬品の備蓄

⇒大雪の被害によっては、診療材料、医薬品の供給に支障が出る可能性があるので薬局とも連携して計画する。

・積雪、凍結への備え

⇒大雪に付随して、クリニック周辺の積雪、水道管の凍結、人の転倒等の可能性もあるので、雪かき用備品(スコップ等)、水の確保、転倒しにくい靴の準備等、備品を揃えておく。

・警報に注意を払う。

・警報発令中に、訪問診療を実施する場合は、状況を見て院長が判断する。その場合は   患者のトリアージも検討し、前もって訪問診療に必要な備品を備え、訪問経路を確認して直行直帰とするなどの対策も必要になる。また、オンライン診療も検討する。

・警報発令の状況によっては、院長が出勤できない可能性もあるので、代診のDRの手配、もしくは提携医療機関に訪問診療をお願いすることも想定する。

・警報解除後は職員・患者の安否確認、クリニックの被害状況(浸水等)の確認を実施  する。また、職員、患者に被害が発生していた場合は支援を検討する。

DRの訪問が無理な場合、看護師のみ訪問もしくは医薬品のみ届ける。(可能な場合)

・患者宅が訪問診療可能で、クリニックが訪問診療不可能な場合は、診療業務を中止し て、提携医療機関もしくは行政との連携により、訪問診療可能な医療期間にお願いし、 それも不可能であれば、訪問診療を中止し、クリニックの機能復旧に注力する。

→院長判断

(3)大雪、暴風雪特別警報(数十年に1度の強度)

 数十年に一度の降雨量となる大雪、猛烈な台風と同程度の温帯低気圧により雪を伴う暴風により、数十年に一度の重大な住宅等の被害や交通障害などの災害が発生すると予想された時に発表される。

(行動指針)

大雪、暴風雪特別警報のレベルでは、クリニックの診療業務に重大な影響が出る可能性が非常に高くなる。特に訪問診療に必要な車両による移動は非常に危険なため、訪問診療は中止して職員、患者の安全確保に努める必要があるため、下記の行動を実施する。

・基本行動は、大雪、風雪注意報、大雪、暴風雪警報と同じ。

・避難所設置の情報収集・確認

⇒避難所の設置情報を確認した時には職員で共有するとともに、患者への案内も検討する。

・特別警報にも注意を払う。

・職員や患者の安否確認の際に、電話、通信が繋がらない場合は、災害伝言ダイヤル、 災害伝言板が提供された場合はこれらを活用する。

トピックス一覧に戻る