お問合せ

勤務医師の評価について

更新日:2024.06.20

病院のコンサルティング業務(経営支援)においてよく相談を受けるのが勤務されている医師や看護師等職員の人事考課についてです。特に「医師の評価はどのようにすればよいか?」は非常に難しい課題ですが相談は多いです。もちろん、患者の診療回数、手術件数、技術レベル等も重要なファクターです。加えて組織に所属する組織人としてはトップの階層になるためリーダーシップや協調性等のファクターも重要になります。そこでお作りしたのは「医師の評価についての基礎的視点」です。すべて5項目にまとめて15のテーマで列挙してみました。あくまで私見でお作りしましたので、自院に沿うテーマを選んでアレンジしてみても良いと思います。以下、ご参照下さい。

「医師の評価についての基礎的視点」

(1)性格
①難病奇病の患者にも常に明るく接して一日に何度も声を掛けている。
②常に高圧的にならず謙虚に患者やスタッフに対応している。
③同僚や他職種の意見を素直に聴いて常にチームワークを保っている。
④冷静沈着で多少のことでは動揺せず平常心を保っている。
⑤患者から要請があればセカンドオピニオンにも気軽に応じている。

(2)使命感
①患者の症状の程度に関らず常に全力で治療に取り組んでいる。
②ひとつひとつが医師として後輩医師の模範となるように行動している。
③専門書を読んだり、学会に参加するなど積極的に自己啓発している。
④病院もまた社会の構成員であることを自覚し、地域の問題にも積極的に取り組んでいる。
⑤自己に与えられた役割や期待を十分に認識し、出来ることは必ずやりとげている。

(3)意欲・情熱
①どのようなケースでも最後まで諦めずに患者の治療にあたっている。
②時間を惜しまず後輩医師やスタッフの指導育成に尽力している。
③最新の知識を貪欲に吸収するために専門誌等を定期購読している。
④自ら率立して目標を設定して新しい物事に取り組んでいる。
⑤地域に溶け込むため院外の地域の活動にも積極的に参加している。

(4)体力と気力
①体力を維持するために休日には必ず運動する機会を持っている。
②常に規則正しい生活を心がけており、病欠がなく体調万全で勤務している。
③朝いちばんでも夕方でも一日中まったく変わらない態度で診療している。
④夜間の急患に対しても日中と同じ対応をしている。
⑤多忙時にも言葉遣いや表情はいつもと変えることなく患者やスタッフに接している。

(5)知識と技術
①認定医や専門医や指導医の資格を取得・維持するため計画的に日々研鑚している。
②最新の医療技術について定期的に上司や同僚や院外の人とも情報交換の場を持っている。
③疑問点は医事課の職員に質しながら、保険請求上必要な事項を正確に記載している。
④自院の沿革や概要そして特性や現況をいつでも説明できるよう準備している。
⑤医療法や医師法や療養担当規制等についても勉強している。

(6)規律性
①遅刻や早退は勿論のこと就業時間中の無断外出もいっさいしないで診療にあたっている。
②上司の指示にはきちんと従っている。また部下は自己の指示に従わせている。
③病院の規則・規程・職場のルールを遵守し、常に模範となる行動をとっている。
④与えられた権限の行使、業務の履行は定められたとおり行っている。
⑤仕事中は公私の区別が明確であり、常に陰日なたなく業務に従事している。

(7)判断力
①治療にあたっては先延ばしすることなく必要なときまでに必ず決断している。
②あらゆる可能性を想定して丁寧にプロセスを踏んだ診断をもとに治療している。
③職責遂行上必要な課題に関し重要度を勘案して順位をつけて取り組んでいる。
④自ら判断すべき事柄と他者に判断を委ねる事柄を正しく峻別している。
⑤治療のみならず新薬の選定や医療機器の導入等も正しく見極めている。

(8)コミュニケーション力
①患者や他の職種への説明はわかりやすい言葉を選んで誠実に話をしている。
②自ら積極的に他の医師やスタッフに話し掛けて意思疎通を図っている。
③治療にあたっては患者のインフォームドコンセントを第一に考えている。
④患者に対しては腰を低くして聞き上手に徹している。
⑤グローバル化に対応するため外国語の修得に取り組んでいる。

(9)責任性
①自らの立場と役割を認識し、職務をまっとうする気持ちを常に持って診療している。 ②自分に非があった場合は躊躇することなく謝罪している。
③職場には個人的な事項をまったく持ち込むことなく治療にあたっている。
④結果について言い訳したり、責任の転嫁をすることなく治療にあたっている。
⑤期日のある業務については必ずそれを遵守している。

(10)協調性
①病院の一員として意識を常に持ち、院内研修会の講師を進んで引き受けるなど他の職務・職場を積極的に協力・応援している。
②部下や同僚の意見をよく聞き、対人関係を上手く保ち職場のチームワークを高めている。
③上手に意思疎通しながら他の部門と連携して、必要な協力関係を築いている。
④以前の勤務先のことはいっさい持ち出さずに、現在の職場ルールを尊重している。
⑤特権意識をふりかざすことなく院内のルールをよく弁えている。

(11)課題解決力
①苦情に対しては即座に誠心誠意対応している。
②常にPDCAの手順で課題に取り組んでいる。
③自ら中心となり、チームスタッフを参加させて課題に取り組んでいる。
④院内外に幅広い人脈を持ち、必要に応じて活用している。
⑤柔軟な発想により課題に対して複数の解決策を立てている。

(12)情報力と先見性
①インターネットや紙誌を通して、必要な情報を積極的に収集している。
②院内の定期情報物等を利用して必要な情報を自ら発信している。
③情報獲得のためのネットワークを新たに開拓している。
④将来需要の増す診療分野やそれに必要な医療技術につき院内外で意見交換している。 ⑤時代の動きを敏感に感じ取り、自院の発展のため常に早めの行動を起こしている。

(13)指導力・リーダーシップ
①予算や目標達成のため率先して部下に具体的な範を示しつつ行動している。
②必要に応じて部下を叱咤激励し目標達成に向かってリードしている。
③医療を行う際には看護師やコメディカルに対して適宜明確な指示を出している。
④対象者の力量を正確に把握し、その人に合った指導方法を工夫している。
⑤部下や同僚の相談には気楽に応じて親身になって解決に協力している。

(14)企画開発力
①毎年目標を設定してクリニカルパスの作成に取り組んでいる。
②自ら進んで看護師やコメディカルや事務職員との情報交換の場を設定している。
③医療情勢の変化に応じた業務改革の提案をしたうえで、それを具体化している。
④広く社会的な現象や新分野の知識を吸収し、改善提案に結び付けている。
⑤将来を読み解くヒントを得るため、他の業界の人とも幅広く交流している。

(15)危機管理力
①想定できる不測の事態については自己の責任分野に関するマニュアルを作成している。
②危機が発生した際の具体的な行動を定期的な訓練によって確認している。
③訓練がないときでも頭の中で行動手順を反芻して忘れないようにしている。
④周囲に対し危機に対する注意をよく喚起している。
⑤日頃から危機管理に関する書籍を読んだり、インターネットを通じて情報を得ている。

トピックス一覧に戻る