更新日:2025.01.11
今回は、弊社でもコンサルティングで最も注力している「在宅医療の普及に必要な支援策」というテーマで掲載します。
我が国では高齢化が進む中、在宅医療の重要性がますます高まっています。病院に通うことが難しい高齢者や慢性疾患の患者にとって、これらのサービスは生活の質を維持するために欠かせないものです。しかし、普及が進まない課題も多く存在します。以下では、在宅医療の普及を促進するために必要な支援策について考察します。
1. 人材確保と育成
1)医師や看護師の確保
在宅医療を提供するには、医療従事者の確保が不可欠です。しかし、現状では人手不足が課題となっています。
①インセンティブの提供
在宅医療を専門とする医師や看護師に対して、診療報酬に絡めて特別な手当や奨励金を提供することで、従事者を増やす仕組みが必要に思います。
②地域密着型の人材育成
地域の医療ニーズを反映したカリキュラムを持つ研修プログラムを設け、在宅医療に特化したスキルを習得させる取り組みが求められます。
2)多職種連携の促進
在宅医療では医師や看護師だけでなく、薬剤師、リハビリスタッフ、介護士など、多職種が連携する必要があります。
①連携体制の整備
チームで患者を支える仕組みを構築し、情報共有のためのICTツールを導入することが効果的です。
2.医療インフラの整備
1)ICTの活用
在宅医療では、ICTの活用が効率化に寄与します。
①電子カルテの共有
患者の医療情報を関係者間でスムーズに共有できる仕組みの整備が必要です。
②遠隔医療の導入
患者宅から医師に相談できるオンライン診療の導入により、緊急時の対応が迅速化されます。
2)医療機器の普及
患者の自宅で使用できる医療機器の普及も重要です。
①携帯型医療機器の支援
血圧計や酸素濃縮器など、必要な機器の貸与や購入補助を行う仕組みも必要です。
②機器の管理・点検の仕組み構築
医療機器の管理・点検を行う仕組みを構築し、迅速な対応を可能にします。
3.財政的支援
1)診療報酬制度の再検討
在宅医療を持続可能なものにするためには、診療報酬の更なる検討が必要です。
①訪問回数に応じた報酬設定
患者の状況に応じた更に柔軟な報酬体系を整えることで、医療機関の負担を軽減します。
②多職種連携強化への評価
チーム医療の取り組みに対して更なる加算報酬を検討し、連携の強化を図ります。
2)患者や家族への補助
患者や家族が在宅医療を更に利用しやすくするための経済的支援も重要です。
①介護保険や医療保険の適用範囲拡大
医療と介護の境界を更に柔軟にし、負担軽減を図ります。
②交通費や機器費用の補助
訪問診療や機器利用にかかる費用の一部を公的に補助する仕組みを検討します。
4.地域住民の意識向上
在宅医療の普及には、患者や家族の理解と協力が不可欠です。
1)情報提供と啓発活動
在宅医療のメリットや利用方法について、積極的に情報を提供します。
①地域セミナーの開催
医療従事者や行政が協力して、在宅医療の利点を患者に説明する場を設けます。
②オンラインコンテンツの活用
SNSや動画配信を通じて、在宅医療の普及に向けた情報を発信します。
2)コミュニティ支援の活用
地域コミュニティの力を活かし、高齢者や患者を見守る仕組みも必要です。
①見守りネットワークの構築
地域のボランティアやNPOが連携し、孤立しがちな患者を支援します。
5.おわりに
在宅医療の普及は、高齢化社会における医療課題を解決する重要な手段です。そのためには、人材の育成やインフラ整備、財政的支援、患者への啓発等、様々な側面からのアプローチが必要です。地域全体で協力し、患者一人一人に寄り添った医療を実現していく事が重要です。