更新日:2025.02.03
今回は、医療コンサルティング(経営支援、事務長代行)のクライアントでの業務でも頻繁に議論したり、相談をお受けする重要事項である「医療機関でのインフォームドコンセントの徹底方法」というテーマで掲載します。
インフォームドコンセント(説明と同意)は、患者が治療や検査について十分な情報を得た上で意思決定を行うために欠かせないプロセスです。医療機関(病院、診療所)においてこの手続きを適切に実施することで、患者の権利を尊重し、医療の透明性を高めることができます。以下では、医療機関でのインフォームドコンセントの徹底方法について解説します。
1. インフォームドコンセントの基本要素
1)正確で分かりやすい情報提供
医療従事者は、専門用語を避け、患者が理解しやすい言葉で説明することが重要です。
①治療の目的と必要性
どのような症状や病気に対して行う治療なのかを明確に伝えます。
②治療の内容と流れ
治療や検査の具体的な方法、手順、期間などを詳しく説明します。
③リスクと副作用
治療に伴うリスクや副作用についても正直に伝え、患者がリスクを理解した上で選択できるようにします。
④代替治療の選択肢
他に選択可能な治療法がある場合は、それぞれのメリット・デメリットを説明します。
2)患者の理解度の確認
説明を行った後、患者が内容を理解しているか確認することも重要です。
①患者からの質問を促す
「何か不明な点はありますか?」と問いかけ、自由に質問できる雰囲気を作ります。
②説明の復唱を依頼
「どのように理解されましたか?」と患者に説明を繰り返してもらうことで、理解度を把握できます。
2.コミュニケーションの工夫
1)患者との信頼関係の構築
インフォームドコンセントは、患者が医療従事者を信頼できると感じることが前提となります。
①患者に寄り添った姿勢
患者の不安や疑問に丁寧に対応し、共感の姿勢を示します。
②落ち着いた環境での説明
できるだけ静かな場所で時間をかけて説明することで、患者の理解を深めます。
2)書面と視覚的資料の活用
①説明文書の提供
口頭説明だけでなく、図やイラストを含めた書面を渡し、患者が後で見返せるようにします。
②動画やスライドを活用
難しい治療内容については、視覚的に説明することで理解を深めます。
3.継続的なフォローアップ
インフォームドコンセントは、一度の説明で終わるものではなく、治療の進行に応じて継続的なフォローが必要です。
1)定期的な説明の機会を設ける
治療の経過に応じて、患者が疑問や不安を解消できるようにします。
2)家族や代理人との連携
高齢者や意思決定が困難な患者の場合は、家族や代理人にも説明し、十分な理解を得るよう努めます。
4.法的・倫理的観点の遵守
医療機関は、インフォームドコンセントに関する法的・倫理的要件を遵守し、適切な手続きを確立する必要があります。
1)記録の保存
インフォームドコンセントの過程をカルテに記録し、必要に応じて書面で同意を取得します。
2)ガイドラインの遵守
厚生労働省のガイドラインや各学会の指針に沿った手続きを実施します。
5.まとめ
インフォームドコンセントの徹底は、患者の権利を守り、医療の質を向上させるために必要不可欠です。医療従事者は、患者との円滑なコミュニケーションを心がけ、分かりやすく誠実な説明を行うことで、より信頼される医療を提供することができます。