更新日:2025.02.03
今回は、「個人情報保護法の改正と医療現場での対応策」というテーマで掲載します。このテーマも最近医療コンサルティング(経営支援、事務長代行)の業務でよく相談を受けるテーマです。
近年、個人情報の取り扱いに関する規制が厳格化され、医療機関(病院、診療所)においても個人情報保護法の改正に対応した適切な管理が求められています。以下では、最新の個人情報保護法改正のポイントと、医療現場で実践すべき対応策について解説します。
1.個人情報保護法改正のポイント
1)改正の背景と目的
個人情報保護法は、デジタル化の進展に伴うプライバシーリスクの増大に対応するため、定期的に改正されています。最新の改正では、個人の権利強化と事業者の義務明確化が主な目的とされています。
2)主な改正内容
①個人の権利強化
・自分の個人情報に関する利用停止・削除の請求権が拡大。
・データポータビリティの推進。
②情報管理の強化
・不正アクセスや情報漏洩に対する報告義務の厳格化。
・医療機関における個人データ管理の適正化。
③第三者提供ルールの厳格化
・データの第三者提供時の記録義務の明確化。
・外国に提供する際の追加規制。
2.医療現場での対応策
1)個人情報管理体制の強化
医療機関は、個人情報の適切な管理を徹底するために以下の施策を講じる必要があります。
①個人情報保護方針の見直し
法改正に伴い、病院や診療所の個人情報保護方針を最新の規制に適合させることが重要です。
②従業員の教育・研修
医療従事者や事務スタッフに対し、個人情報の取り扱いに関する最新の知識を共有し、意識向上を図ります。
2)データの安全管理対策
①アクセス管理の徹底
電子カルテや個人情報を扱うシステムのアクセス権限を適切に設定し、不正な閲覧や改ざんを防止します。
②監査・ログ管理の強化
個人データへのアクセス履歴を記録・監査し、不正なアクセスがないか定期的に確認します。
③データ暗号化の推進
医療情報の通信や保存時に暗号化を施し、情報漏洩リスクを低減します。
3)患者対応の強化
①プライバシーポリシーの明示
患者に対し、どのように個人情報を収集・利用・管理するかを明確に説明し、同意を得るプロセスを徹底します。
②個人情報の開示・訂正手続きの整備
患者が自分の情報にアクセスし、訂正や削除を求められる仕組みを整えます。
3.今後の課題と展望
個人情報保護法の改正に伴い、医療機関にはさらなる情報管理の厳格化が求められます。デジタル技術の進化とともに、個人情報の取り扱いルールも変化し続けるため、継続的な対応が必要です。
1)データガバナンスの強化
ITシステムを活用し、統合的な個人情報管理を実施。
2)サイバーセキュリティ対策の向上
ランサムウェア攻撃などのリスクに備え、セキュリティ対策を定期的に見直し。
3)AI・ビッグデータ時代への対応
AIを活用した診療データ解析など、新技術の進展に応じた個人情報保護の枠組みを構築。
4.まとめ
個人情報保護法の改正により、医療機関はより一層の情報管理強化が求められています。患者のプライバシーを守ることは、信頼関係の構築にも直結します。法改正を機に、医療現場の個人情報保護対策を見直し、安全で質の高い医療サービスの提供に努める事が大事です。